なぜ「預金以外」を議論するのか
預金は、日々の支払いと緊急時に備える資金を預ける場所として、資産管理の土台となります。
そのうえで、生活に必要な資金を預金で確保したあとに残る「当面使う予定のない余裕資金」を、どのように位置づけるかという話が「預金以外の資産形成」です。余裕資金の一部を別の金融商品に振り分けるかどうかは個人の判断であり、必須ではありません。
ここでいう生活に必要な資金は、日々の支払いや急な支出などに備えて手元に残しておきたい資金のイメージです。一方、余裕資金は、しばらく使う予定がなく、値動きや元本割れがあっても生活が直ちに困らない範囲の資金を指します。両者を分けて考えると、「預金で守る資産」と「投資として運用する資産」を混同しにくくなります。
預金以外の資産形成にはどんな選択肢がある?
一般的に挙げられるものには次のような選択肢があります。いずれも優劣のランキングではなく、仕組みの違いを把握するための整理です。
| 選択肢 | 主な特徴 | 元本保証 | 流動性のイメージ |
| 株式 | 値上がり益・配当などが期待される場合がある | なし | 比較的高い場合が多い(市場で売買) |
| 投資信託 | 複数の資産に分散して投資する商品がある | なし | 商品・換金条件による |
| 国債・債券 | 国や発行体への資金提供の性格を持つ商品がある | 商品・発行体による | 商品・市場条件による |
| 貸付型ファンド | ファンド経由で貸付事業等に出資し、分配を目指す | なし | 運用期間中は原則として途中解約不可 |
※ 上表は一般的な傾向の整理です。個別商品の条件は募集情報や契約関連書面で確認してください。
株式
株式は、企業の株式を保有する形の投資です。価格変動により利益や損失が出る可能性があり、預金のように元本が保証されるものではありません。市場で売買できる銘柄が多い一方、価格は日々変動します。
投資信託
投資信託は、複数の資産にまとめて投資する商品設計が多い点が特徴です。商品ごとに投資対象や手数料、換金の条件が異なります。元本保証はなく、基準価額の変動により損失が生じる可能性があります。
国債・債券
国債や社債などの債券は、発行体に資金を提供し、利息や償還を受け取ることを目指す商品があります。発行体や商品設計によってリスクや換金のしやすさは異なります。預金保険の対象となる預金とは別の枠組みで考える必要があります。
貸付型ファンド
貸付型ファンドは、出資者がファンドに出資し、その資金が貸付事業などに充てられ、分配や償還を目指す仕組みです。預金とは異なり元本・分配は非保証で、運用期間中は原則として途中解約できない場合があります。本稿後半で預金との違いを整理します。仕組みの詳細は次の記事をご覧ください。
本稿の後半では、このうち貸付型ファンドを一例として、預金との違いを詳しく説明します。株式・投資信託・国債などの詳細は、それぞれの商品説明や公的情報もあわせてご確認ください。
預金と貸付型ファンドの違い
預金以外の選択肢を考えるときは、商品の良し悪しではなく、商品性の違いを並べて見る方が判断しやすいです。下表は預金と貸付型ファンド(一例)の対照であり、優劣のランキングではありません。
| 観点 | 預金 | 貸付型ファンド(一例) |
| 元本 | 安全性が高い | なし(元本非保証) |
| 流動性 | 引き出しやすく、日常の資金管理に向きやすい | 運用期間中は原則として途中解約不可 |
| リターンの性質 | 利息として示される | 目標・想定利回りが示される場合がある(非保証) |
表が示すのは、「預金で守るべき資金」と「投資として受け入れる資金」を分けて考える、という整理です。貸付型ファンドは後者の選択肢の一つにすぎません。
貸付型ファンドという選択肢
余裕資金の投資対象としては、前掲のとおり株式や投資信託(NISAでの積立を含む)、国債・債券などもあります。そのうえで、貸付型ファンドも、余裕資金の補完的な選択肢の一つになり得ます。
貸付型ファンドは、個人投資家の出資金をファンド経由で企業等へ供給し、事業収益等をもとに分配金が支払われる仕組みです。預金とは異なり、元本や分配金は保証されません。
仕組みの詳細、最低投資金額、運用期間の長短、プラットフォームの確認方法は関連記事で整理しています。
→ 貸付型ファンドのプラットフォームの選び方|登録番号・協会・開示の確認
預金以外の資産形成を考える際の注意点
預金以外の金融商品を検討するときは、少なくとも次の点を分けて確認すると整理しやすいです。
余裕資金で考える
生活に必要な資金や直近で使う予定のある資金は、まず預金など引き出しやすい形で確保したうえで、当面使う予定のない余裕資金の範囲で検討します。まずは資金の用途と使える時期を切り分けることが大切です。
元本保証の有無を確認する
預金と投資商品では、元本の扱いが異なります。貸付型ファンドなど多くの投資商品では元本は保証されません。「知名度がある」「利回りが示されている」ことは、元本保証を意味しません。各商品の契約関連書面や公式の商品説明を確認してください。
流動性(途中で使えるか)を確認する
商品によっては、換金や解約に制約があります。貸付型ファンドでは、運用期間中の途中解約が原則としてできない場合があります。「短期間の商品ならいつでも引き出せる」と混同しないよう、募集条件の運用期間と解約可否を書面で確認してください。
リスク許容度と仕組みを確認する
想定される値動きや損失の可能性、資金の使途、契約条件は商品ごとに異なります。仕組みが理解できない商品は、判断を保留するのも選択肢です。商品概要と契約締結前交付書面などの開示資料を確認してください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 預金以外の資産形成とは何ですか?
A1. 生活に必要な資金を預金で確保したあとに残る余裕資金を、どのような投資商品で持つかを考えることです。。
Q2. 預金以外の資産形成にはどのような方法がありますか?
A2. 株式、投資信託、NISAの枠組みを利用した投資、国債・債券、貸付型ファンドなどが例として挙げられます。いずれも仕組みとリスクは異なります。
Q3. 預金と預金以外の金融商品はどう使い分けますか?
A3. 一例として、支払い・緊急時に備える資金は預金、当面使う予定のない余裕資金は投資商品を検討する、という分け方が考えられます。配分は個人の状況によります。
Q4. 預金以外の資産形成は余裕資金で行うべきですか?
A4. 本記事では、生活に必要な資金を確保したうえでの余裕資金を前提に整理しています。直近で使う予定のある資金を投資に回すことは検討するべきではありません。
Q5. 預金と貸付型ファンドの違いは何ですか?
A5. 代表的な違いとして、元本保証があるか、途中で引き出せるか、リターンの示し方が挙げられます。貸付型ファンドは投資商品であり、元本・分配は非保証です。
Q6. 運用期間中に資金が必要になった場合、引き出せますか?
A6. 貸付型ファンドでは、原則として途中解約や引き出しはできません。余裕資金の範囲での検討が前提です。
Q7. 目標利回りは確実に受け取れますか?
A7. 確実ではありません。目標・想定利回りは目安であり、将来の運用成果を保証するものではありません。
Q8. 資金使途や申込み後の解除はどう確認すればよいですか?
A8. 契約締結前交付書面の見方や確認項目は次の記事をご覧ください。
まとめ
預金以外の資産形成は、生活に必要な資金を確保したうえで、余裕資金をどのような投資商品で持つかを検討することです。まず代表的な選択肢の違いを把握し、元本の扱い・流動性・リターンの性質といった違いを確認したうえで、貸付型ファンドを選択肢の一つとして検討できます。
ご自身のリスク許容度と資金の使い道に合わせて判断してください。
→ 貸付型ファンドのプラットフォームの選び方|登録番号・協会・開示の確認
参考文献
3. 一般社団法人第二種金融商品取引業協会「貸付型ファンドに関するQ&A」
